「RISC-V(リスク・ファイブ)」は, カリフォルニア大学バークレイ校で5 番目に開始された縮小命令セットコンピュータ(Reduced Instruction Set Computer) のプロジェクトで, 現在はRISC-V International が管理するオープン標準の命令セットアーキテクチャ (ISA) です. 標準化された命令セットを研究目的から商業目的までさまざまな用途で利用でき,開発環境やソフトウェアを容易に共有,再利用することができます.


 RISC-V は特定の企業に依存しない新しいアーキテクチャであり,サーバ,PC,モバイル,組み込み,IoT など様々な用途をカバーできるよう検討されています. 実装した際に,適応する装置に最適な性能,コスト,消費電力が実現できるように機能を選択できるモジュラ・アーキテクチャが採用されています. 多くの研究者や技術者が参加するオープンなコミュニティで幅広い開発や議論が進められており,先進技術が迅速に取り入れられています.

 最近では商業目的での半導体やIP 提供も増えていますが,新興の海外メーカからの供給が多いことから,サポートや供給体制に不安をもつ人も多いと思います.


 NSITEXE(エヌエスアイテクス)はデンソー100% 出資による半導体設計会社で,機能安全を含めた品質保証やサポートを行っていますので,車載機器,医療機器,産業機器など信頼性が求められる装置の開発に最適です.
 IP のままでは簡単に評価するのは難しいので,組み込みソフト開発や開発ボードで知られる萩原エレクトロニクスから,NS31A をすぐに使える評価キットが販売されています.


 ここでは,注目を集めているRISC-V コアのNS31A とすぐに使える評価キット,さらに開発中のモータ制御評価キットについても紹介します.

NSITEXE Akaria NS31A

 NSITEXE 社のAkaria はアプリケーション毎に最適な構成で提供を行うプロセッサIP に加え,プロセッサIP を活用したソフトウェアやそれらを組合せたソリューションを製品ラインアップに持ちますが,Akaria NS31A はStandard Processor として,車載をはじめ各種産業用途に幅広く対応する機能安全に対応した汎用32 ビットRISC-V コアです.

NSITEXE では,Akaria NS31A に続く製品として,周辺機能とインターフェースを削減して小型,省電力化したNS11,アプリケーション向けに64 ビットを採用して高性能化したNS72 を発表しています.

NS31A の基本評価キットEntry Kit

NS31A を手軽に評価できるように,萩原エレクトロニクスでは基本評価キットとしてEntry Kit を発売しています.これは,プロセッサIP のNS31A を書き込んだボード(Arty A7-100)とソフトウェアツール(Virtual Box),サンプルプログラム,ドキュメント,接続ケーブルなどで構成され,手持ちのPC と接続すれば,すぐに動作させることができます.ボード上のNS31A にプログラムを書き込むにはUSB-JTAG モジュールが必要で,モジュールを同梱した基本パッケージPlus と,モジュールなしの基本パッケージの2 種類の構成のキットを用意しています.
 NS31A Entry Kit の製品構成を図2 に,PC に接続した例を図3に示します.

 Arty A7-100 はソフトコア・プロセッサの開発用に作られたボードで,マイコン向けのI/O をもつなどプロセッサ評価用に使いやすいボードです.
 PC では,Windows 上の仮想化ソフト(Virtual Box)を用いてubuntu 仮想環境を作り,その上でNS31A の操作や開発を行います.
ubuntu 仮想環境で4G バイトのメモリを使用するので,PC のスペックとしては8G バイト以上のメモリが必要です.

NS31A のモータ制御評価キットAppli Kit

 より実製品に近い制御アプリケーションでNS31A を評価するためのキットとして,萩原エレクトロニクスではモータ制御評価キット(Appli Kit)を開発中です.
 これは,BLDC モータドライバ・ボードとその上に搭載するFMCキャリアボード,BLDC モータ,ソフトウェアツール,サンプル・プログラムなどをキットとしてまとめたものです.メザニンカード上のFPGA には,NS31A とモータ制御用の周辺回路がインテグレーションされています.Appli Kit のブロック図を図4 に,評価ボードの概要を図5 に示します.

 Appli kit を活用した開発対象としては,BLDC モータの制御,音声入出力と録音再生,超音波による近接検知などが想定されています.モータ制御用のサンプルソフトも添付されています.

CQ出版:2023年1月号インターフェース掲載

CONTACT

お問い合わせはこちらまで