Renesas R-Car V4H評価ボード「White Hawk」のセットアップ手順
自動運転・ADAS開発向けSoCとして注目される、ルネサスエレクトロニクスの「R-Car V4H」
その評価・開発環境として提供されているのが、評価ボード「White Hawk」です。
しかし実際に導入してみると、
「最初に何をすればいいのか分からない」
「UbuntuやVirtualBoxの設定で止まってしまう」
「ネットワーク設定が難しい」
と感じる方も少なくありません。
本記事では、萩原エレクトロニクスのウェビナー内容をもとに、White Hawkセットアップの全体像と、特につまずきやすいポイントを整理してご紹介します。
近年の車載システムは、大きく進化を続けています。
運転支援システム(ADAS)、デジタルメーター、ディスプレイオーディオ、統合コックピットなど、高性能な画像処理やAI認識処理を必要とするシステムが急速に増加しています。
その中で、ルネサスエレクトロニクスの「R-Car V4H」は、自動運転レベル2+〜レベル3をターゲットとしたAD/ADAS向けSoCとして展開されています。
ディープラーニングやコンピュータビジョン向けのハードウェア機能を搭載し、高い機能安全性能(ASIL-D対応)も特徴です。
また、R-Car V4xシリーズはソフトウェア資産を流用しやすいスケーラブル設計となっており、車種展開時の開発効率向上にも貢献します。
White Hawkは、R-Car V4Hを搭載した評価・開発用リファレンスボードです。
OS、デバイスドライバ、アプリケーション開発に加え、カメラ入力を利用した画像処理や認識処理の実機評価まで行える点が大きな特徴です。
また、White Hawk単体ではなく、「R-Car SDK」と組み合わせて利用することで、本格的なAD/ADAS開発環境を構築できます。
SDKには、
・開発ツール
・各種ソフトウェアライブラリ
・サンプルコード
・シミュレーション環境
などが含まれており、White Hawk上でのソフトウェア開発を支援します。
White Hawkのセットアップは、大きく以下の流れで進みます。
ブートローダ書き込み
VirtualBox環境構築
Ubuntu Linuxインストール
ネットワーク設定
NFS/TFTP設定
SDK環境構築
サンプルアプリ実行
特に初めて環境構築を行う場合、Linux環境やネットワーク設定でつまずくケースが少なくありません。
今回のウェビナーでは、PC画面を共有しながら、これらの設定を順番に確認していきました。
「ブートローダー書き込み」
White Hawkは、購入直後の状態では起動用プログラムが書き込まれていません。
そのため、最初にFlash Writerを使用し、ブートローダを書き込む必要があります。
この作業では、
・DIPスイッチ設定
・Tera Term接続
・シリアル通信設定
・Flash Writer実行
などを行います。
特に、Tera Term側にログが表示されないケースや、USBポート選択ミスなどは、初期セットアップで発生しやすいポイントです。
また、書き込み後はDIPスイッチを通常起動モードへ戻す必要があり、この切り替え忘れにも注意が必要です。
Ubuntu / VirtualBox環境構築で重要なポイント
続いて行うのが、VirtualBoxとUbuntu Linuxを利用した開発環境構築です。
今回のウェビナーでは、
・VirtualBox導入/設定
・Ubuntu 20.04インストール
・評価ボード立ち上げ用のUbuntu設定(ネットワーク設定、プロキシ設定etc)
・NFS/TFTPの導入/設定
などを順番に解説しました。
特に社内ネットワーク環境では、プロキシ設定が必要になるケースもあり、VirtualBox側・Ubuntu側双方の設定確認が重要になります。
また、Ubuntu環境では、ディスク容量不足やメモリ不足によって、ビルド時に問題が発生するケースもあるため、事前に十分なPCスペックを確保しておくことが推奨されています。
ウェビナーでは、実際によくある問い合わせ例も紹介されました。
例えば
・Tera Termにログが表示されない
・文字化けする
・別PCへ変更すると起動しない
・U-Boot設定が保存されない
といった内容です。
原因としては、
・USBポート選択ミス
・ボーレート設定違い
・IPアドレス不一致
・saveenv未実行
などが多く、特にネットワーク設定関連は、セットアップ時の重要ポイントとなります。
まとめ
White Hawkを利用したR-Car V4H開発では、
・Linux環境構築
・ネットワーク設定
・ブートローダ書き込み
・NFS/TFTP設定
など、組込みLinux開発特有の知識が必要になります。
一方で、これらの環境を構築することで、実機を用いたAD/ADAS評価やアプリケーション開発を効率的に進められる点は大きなメリットです。
今回のウェビナーでは、実際のPC画面を用いながら、セットアップ手順と注意点を分かりやすく紹介しました。
なお、詳細なセットアップ手順や技術的なサポートをご希望の方は、萩原エレクトロニクス担当者までお気軽にお問い合わせください。





