スクリーンに映る未来の車 <第一話>


映画やTVで登場した車を通して、当時抱いていた未来のテクノロジーと2022年の今の状況を見直してみたいと思います。あくまで筆者の主観に基づく考察なので、ご意見もあると思いますが、温かい目でみて頂ければ幸いです。


第一話は「KNIGHT2000」です。

KNIGHT2000は1980年代にアメリカで製作されたTVドラマ「ナイトライダー」に登場するドリームカーです。
(当時も大変な人気でしたが、その後に続編が作られたり、レプリカが作られたりと世代を超えた人気がありました。)
外見は米国車ファイヤーバード・トランザムを改造して、前部にスキャナーをイメージできる赤色のライトが特徴の漆黒の車でした。内装は大きく変更されており、多数のランプとスイッチとディスプレイが装着され、きらびやかな表示が多くの機能をみるものに訴えていました。
物語は元警察官だった主人公がKNIGHT2000を駆って凶悪犯と戦う話でしたが、このKNIGHT2000が人気だったのは、ジャンプできる機能や強靭なボディではなく、搭載される人工知能KITTの存在でした。
KITTは音声入力をもつ人工知能で搭乗者との会話が可能で、さらにKNIGHT2000の制御のすべてをも司どっています。作品中では登場人物たちとのユーモアを交えた会話も面白く描かれていました。

KITTは、自動運転もドアの開閉もしますし、様々なセンシングによりブラインドコーナーに潜む危険を検知したり、犯人の車をみつけ上空からの映像でコクピット内のディスプレイに映すことも可能です。
搭乗者を認識したり、無線で操ることも可能、ドライバの状態を監視して運転できない状況と判断すると、自動運転に勝手に切り替わります。
さらには、ハッキング不可能であるとも…
まさに今の車でやっていること、やろうとしていることがここに描かれていました。

40年以上経って、ブラインドコーナーに潜む危険の察知もできていませんが、スマホを使った単純なリモコンはやっと日本車にも機能がつく時代になりました。
もうすぐ本当にKNIGHT2000ができるのかもしれません。
それにしても、KITTのような優れた人工知能があるのに、あれほどの表示装置とスイッチが必要だったのでしょうか。そこだけは、当時の製作者の想像とは違うようです。

現在の車で最も進化している一台にTESLA Model3が挙げられます。
Model3のコックピットはいたってシンプルです。ハンドルとブレーキ、シフトレバーとウィンカーレバーはあるものの、あとはすべて中央のタッチパネルディスプレイに集約されています。トランクを開けるボタンですらです。
確かに完全自動運転になればドライバーは必要ないし、車の制御に関わるメーター類も必要ありません。
運転を楽しんだり、快適で安全な移動をするならKNIGHT2000の方がいいでしょう。
でも、コックピットの先進性はTESLAの方が進んでいるのかもしれません。
40年前の人はコックピットについて違った未来を想像していたようです。
同様に今後のコックピットの進化は人の想像を超えるものになるのでしょう。

これからの車のデザイン、特にコックピットの進化が楽しみです。

萩原エレクトロニクス(株) 柴田英一

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