萩原エレクトロニクスは、資本提携先である米国のスタートアップParkofon Inc.社(CEO Evgeny Klochikhin, PhD 以下、Sheeva.AI社)と共に、スマートで快適なカーライフを実現する為のIn-Vehicle Payment(車載決済)市場の開拓に取組んでいます。当社は、簡略化したEV充電体験の実現を目指し、株式会社プラゴ(東京都品川区、代表取締役社長:大川直樹 )の協力を得てデモシステムを構築しました。位置情報に基づくEV充電の車載決済システムとしては国内初*1の試みとなります。今後、新しいデジタルコマースの領域で、国内の車載決済ビジネスの環境整備をSheeva.AI社およびパートナー企業と共に加速させます。
(*1)当社調べ(EV充電の認証に関わる規格、主要充電事業者10社のアプリおよび関連記事を調査)

(1)今回のデモシステムについて

今回開発したデモシステムは、既存のEV充電機器に対して、Sheeva.AI社の位置情報に基づく決済システムがクラウド連携で利用可能となる事を実証しています。これにより利用者は、車から降りて充電カード(認証カード)を出すことや、スマホでのQRコード読取りが不要となり、車の中からワンタッチで目的のEV充電機器をアクティベートする事が可能となります。実証する為に、既存の充電施設の各EV充電機器の位置に対応した車室を仮想的にマッピング(ジオフェンスマッピング)しています(下図 (a))。ジオフェンスはSheeva.AI社のAI技術を用いて、衛星写真の画像から自動的に行われています。車両には、Sheeva.AI社が保有する高精度位置検出のアルゴリズムを適応した車載機器と、Sheeva.AI社のアプリを実行するタブレット端末を搭載しています(下図(b))。この車両がジオフェンス内に入るとSheeva.AI社のクラウドシステムがどの車室に駐車したかを認識し、EV事業者のクラウドシステムと連携して、対応したEV充電機器をアクティベートしています(下図(c))。
本デモシステムは株式会社プラゴの協力を得てSheeva.AI社と共に開発をしました。 

車載決済(In-Vehicle Payment)市場について
車載決済とは車両そのものを決済端末として活用する仕組みで、ドライバーの支払いに関わる負担を軽減し利便性を大きく向上させるユーザーエクスペリエンスを実現します。米調査会社Precedence Research社によると、車載決済市場は2032年までに年平均成長率(CAGR) 16.2%で成長し、200億ドル規模まで拡大すると予測されています。

(2)Sheeva Partners’ DAYについて
2024年11月に自動車メーカー、自動車部品メーカー、サービス系/決済系事業者(駐車場事業者、EV充電事業者など)を招待し、「第2回Sheeva Partners’ DAY」を開催しました。 

車載決済市場の立ち上げには、さまざまな企業の連携が不可欠です。「Sheeva Partners’ DAY」を開催することで、さまざまな企業の方とデモシステムについて情報交換や意見交換を実施しました。

Sheeva Partners’ DAYイベントの様子

 Sheeva.AI社のCEO兼創業者のEvgeny Klochikhin氏は「今年の春に初めてSheeva Partners’ Dayを開催したのは、それほど昔のことではありません。前回の駐車場でのデモに続き、私たちのユースケースが日本のEV充電事業者と消費者の両方にとって現実のものになることは素晴らしいことです。」とコメントを寄せています。
Sheeva.AI社は、2023年半ばに日本で萩原エレクトロニクスと車載決済事業を開始した後、両社は、自動車メーカー、自動車部品メーカー、決済、駐車場、エネルギー企業から70社以上のパートナー候補を集め、この新しいデジタルコマースエコシステムの基盤を構築してきました。
さらにSheeva.AI社は2024年9月に日本法人「Sheeva Japan株式会社」を設立し、国内の自動車業界とサービス業界それぞれのパートナーとの間で、車載決済を急速に拡大するという使命に対してコミットメントを示しました。
 萩原エレクトロニクスは4月の第1回Sheeva Partners’ DAY以降、車載決済分野の機運が高まっていることを実感しています。引き続きSheeva.AI社と共に多様なユースケースを日本市場で展開するための活動を進めていきます。

【参考】 Sheeva.AI社の車載決済技術について

 Sheeva.AI社の技術は、自動車の正確な位置情報を得る技術(右図①)とその情報を用いたサービスAPI(同②)で構成されています。
一般的にGPSを用いた測位技術は、大気遅延*2やマルチパス*3などの影響を受け10mから20m程度の誤差が生じると言われています。これらを解決する為に、RTK(Real Time Kinematic)による相対測位で誤差を補正したり、外部の他の基準信号を用いて補正する技術もありますが、これらの方法は機器自体が高額であったり、基準信号を発する機器をインフラとして広範囲に整備しなければならないという課題があり、自動車への応用では一般的に使われていません。
カーナビゲーションシステム等の車載機器では、GPSに加え、自動車の運行情報(速度、舵角など)を用いた位置補正(Dead Reckoning)や地図情報を用いた位置補正(Map Matching)が使われています。
Sheeva.AI社もこれらの技術を用いていますが、Dead Reckoningに関して特許を取得した独自のアルゴリズムを用いて、飛躍的に精度を高め車載決済に応用できるレベル(誤差2m以内)を実現しています。
 更に、高精度な位置情報に基づくクラウド上のサービスAPIも開発し、駐車料金だけでなく、ドライブスルーでの買い物や、ガソリン給油、EV充電、有料道路の通行料やシェアカー利用料などの支払いにも対応しています。
これらの技術を用いる事で、カーライフでの支払いを、クレジットカードやQRコード*4を提示する事もなく、スマートでストレスフリーなユーザ体験を実現する事ができます。

(*2)GPSにおいて衛星からの信号が大気中の影響によって誤差を生じる現象。衛星から地上の受信機まで到達する間に、大気中の湿度や気温変化により信号が屈折/反射する事で遅延が発生し、位置データの計算に誤差を生じさせる。
(*3)衛星からの信号が山やビルなどに反射する事で受信機に複数の同一信号が遅延を伴って到達する事により位置データの計算に誤差を生じさせる現象。(*4)QRコードは株式会社デンソーウエーブの登録商標です。

【会社概要】

会社名:Sheeva.AI社(Parkofon Inc.)
所在地:8521 Leesburg Pike Suite 250, Vienna, VA 22182, USA
代表者:Evgeny Klochikhin, PhD
URL: https://www.sheeva.ai/

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